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激しい嘔吐下痢の時
水分はなにがいいの? |
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冬になると、嘔吐下痢がはやるようになります。
「突然の嘔吐」で始まるノロウイルス、
激しい嘔吐のあとに水様性の下痢が長く続くロタウイルス。
診断は、流行状況や症状、便検査を参考にします。(2007年11月から、当院ではノロウイルスの便検査も施行しております)
ホームケアとしては、ノロウイルスの場合は、嘔吐してから2〜3時間たってから、まず水分、次に塩分、最後にカロリーを考えてあげてください。それでも、6時間以上も嘔吐が続くときはもう一度受診してくださいね。自家中毒症(アセトン血性嘔吐症)に移行してしまったかもしれません。
ロタウイルスの場合は、水と電解質が失われる下痢が長く続きますので、開発途上国では「死ぬ病気」です。やはり水分、次に塩分、最後にカロリーを根気よくあげなければいけません。脱水が急激に進むことがありますので、母乳や水分を少量を頻回に飲ませるようにしてください。ぐったりしてきたら、受診が必要です。
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さて、嘔吐や下痢がひどいときの水分はどんなものが適しているのでしょう?
下痢や吐物は、かなりの塩分を含んでいます。嘔吐下痢の時にイオン飲料だけを飲ませていては塩分が足りなくなってしまいます。イオン飲料は、主に運動時の水分・塩分補給を考えて作られています。
赤ちゃんむけのイオン飲料は、一般のイオン飲料より糖分は少なくなっていますが、塩分に関しては同じものもあり、注意が必要です(下部に一覧表があります)。
また、同じく「イオン」という言葉がついているものに「アルカリイオン水」があります。これは、「ほんの少しイオンが入っている水」のことで、ナトリウム濃度はポカリスエットの百分の1程度です。嘔吐下痢のときの水分としては不適切です。
嘔吐・下痢のひどい場合に水分と塩分をおぎなうには、「ORS 経口補塩水」が理想的です。母乳栄養児には母乳をそのままあげてください。塩分の少ない水分を飲ませているときには、塩分としてみそ汁や野菜スープなども時々あげてくださいね。
吐気が遠のいてきたら、おかゆも少しずつあげ始めて下さい。
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家庭で作る経口補塩水
竹田のORS |
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塩 :小さじ 1/2
(2.5ml・約2g)
砂糖:小さじ 3
(もしくは 大さじ 1)
(約8g)
水 : 500 ml
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「小さじ」とは、「5ccの計量スプーン」のことです。
「大さじ」とは、「15ccの計量スプーン」のことです。
「すりきり」で計測してください。特に塩分の量は間違いのないようにしてください。また、砂糖は多すぎると、下痢がひどくなったり吐き気を誘発します。
味付けとして、またカリウムの補充として 「レモン汁」を加えてもよいでしょう。
500mlのペットボトルを利用すると作りやすいです。水は、一度沸騰させてからさました水が理想的ですが、新鮮な水道水でもかまいません。保存はききません。
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ORS(oral rehydration salt)は、 経口補水塩という訳が一般的のようですが、私は経口補塩水といった方が日本語として通じやすいのではないかと思います。
余談になりますが、アクアサーナORSとアクアライトORSのORSは、oral rehydration solutionを略したものとしています。
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【注】 各種飲料のナトリウム濃度 |
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(mEq/L) |
*イオン飲料(スポーツ飲料) |
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ポカリスエット |
21 |
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*乳児用イオン飲料 |
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ビーンスターク ポカリ |
21 |
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和光堂アクアライト |
30 |
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ピジョンイオン飲料 |
30 |
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*高ナトリウム乳児用イオン飲料 |
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アクアサーナORS |
32 |
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アクアライトORS |
35 |
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*病者用食品 経口補水液 |
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オーエスワン |
50 |
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*WHOが推奨するORS |
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WHO−ORS(2002) |
75 |
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*アメリカ小児科学会が推奨する回復期ORS |
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AAP−ORS |
40〜60 |
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*塩茶さじ1を水500mlに溶かしたとき |
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竹田のORS |
48〜85 |
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(小さじ1/2の塩を1.5〜2.5gとしました) |
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参考:アルカリイオン水のNa濃度は0.3mEq/L程度。 |
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文責: 院長 竹田 弘 2005.12.10改変
2008.03.21改変 |